コロナ禍における八支則
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新型コロナウイルス変異株という脅威、ワクチン摂取に関わるトラブルや不手際。
体調も情緒も不安定になりやすく、不安や焦りから多くの混乱が生じています。
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日々刻々と変化する情報や集団心理に軸を取られないよう、こんな時だからこそ先人達の智慧を借り、心の平安を取り戻すことが必要です。
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ヨガの経典【ヨーガ・スートラ】には、ヨガを学ぶシステムとして、心を統制する為の修練を8段階に分けた【八支則(はっしそく)】が記されています。
●サンスクリット語:【Ashtanga/アシュタンガ】”8つのものからなる”という意味。
またインドでは”8”が全体を表す神秘数とされていることから、この場合 ”完全なる” という意味となります。
●英語:【Eight Limbs of YOGA 】
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八支則にはヨガに興味を持ってくださった方、既に始めていらっしゃる方、ただ人生をより良いものにしたいと思っている方にとってもたくさんのヒントが詰まっています。
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自分を守るため、大切な人を守るために出来ることは非常にシンプルです。
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❶ヤマ …禁戒(きんかい)・為さざること
❷ニヤマ…勧戒(かんかい)・為すべきこと
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❸アーサナ…坐法(ざほう)
・ヨガポーズのこと
❹プラーナヤーマ…調気(ちょうき)
・呼吸法のこと
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❺プラティヤーハラ…制感(せいかん)
・感覚を閉じ込めること
❻ダーラナー…凝念(ぎょうねん)
・精神を集中すること
❼ディヤーナ…静慮(じょうりょ)
・瞑想状態のこと
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❽サマーディ…三昧(さんまい)
・悟りの境地
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①〜④は土台となる基礎づくりとして大切な項目となります。
③④が一般的に ”ヨガ” と聞いてイメージされるポーズと呼吸法。
そして⑧番目にヨガの目的である【悟り・梵我一如】が位置付けられています。
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このなかで、①ヤマ②ニヤマは日常生活の中ですぐにでも取り組める行ですので、ここでは①ヤマ②ニヤマについてご紹介致します。
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1. ヤマ / 為さざること
〜守るべき5つの心得〜
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●アヒムサ / 非暴力
苦痛を引き起こさないこと
言葉・行動・思考レベルで他者に暴力を振るってはならない
自身に対しても暴力的であってはならない
全ての生き物に愛情と敬意を持つこと
非暴力を確立した人がいるところでは全ての敵意はやむ
Yoga Sutras Ⅱ-35
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●サティヤ / 正直
嘘偽りなく正直であること
※真実であっても人を傷つける言葉であれば口にしないこと
(アヒムサ/非暴力が最優先)
正直を確立したならば、行為とその結果は言葉と一致する
Yoga Sutras Ⅱ-36
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●アスティヤ / 不盗
人の物、時間、権利、利益等を盗まないこと
不盗を確立したならば、すべては宝石となる
Yoga Sutras Ⅱ-37
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●ブラフマチャリア / 禁欲
性的欲求に溺れないこと
禁欲を確立したならば、活力が得られる
Yoga Sutras Ⅱ-38
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●アパリグラハ / 不貪
物質欲にとらわれず必要以上に所有しない
不貪を確立した人は、過去と未来の出生に関する知識を得る
Yoga Sutras Ⅱ-39
(インドでは生命は30兆回の輪廻転生後に解脱すると考えられていますが、ヨガはこの運命を受け入れず、今ここで私達を解脱させようとします。「真に自己努力をする者には運命などない」聖仙ヴァシシュタ
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2. ニヤマ / 為すべきこと
〜勧んで実践すべき5つの心得〜
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●シャウチャ / 清浄
心、体、環境を常に清潔に保つこと
清浄であれば、他人に汚されることはない
Yoga Sutras Ⅱ-40
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●サントーシャ / 知足
必要以上の贅沢をしないこと
置かれている環境、自分の体、能力、人間関係等、既に与えられているものに意識を向け満足すること
※知足からこのうえない喜びが生じる
「天国にどんな喜びがあろうと、性的快楽を通してどんな喜びが得られようと、欲望が消えたときの喜びにははるか及ばない」
聖仙ヴィサーヤ Yoga Sutras Ⅱ-42
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●タパス / 苦行
肉体の苦行:断食
言葉の苦行:沈黙・真実だけを話す
精神の苦行:瞑想
を実践すること
※自分を傷めつけるものではなく喜びと希望を持って行うもの
苦行は不純物を破壊し、それにより体と感覚器官に超能力がもたらされる
Yoga Sutras Ⅱ-43
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●スヴァディヤーヤ / 読誦
解脱に関する聖典の学習をすること
人として成長し心がととのうような書物を読むこと
自己の探究を確立することで神との交わりが生まれる
Yoga Sutras Ⅱ-44
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●イーシュヴァラ・プラニダーナ / 主霊への祈念
主霊(煩悩や業などに影響されない穢れのないスピリット)に祈念すること
至高の存在への祈念によってサマーディは成就する
Yoga Sutras Ⅱ-45
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コロナ禍におけるヤマ・ニヤマ
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Yama
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●Ahimsa for myself / 自分への非暴力
非日常となってしまった日々のなかでも、趣味を楽しむ、ボディケアを丁寧にする、お茶をゆっくりいただく等、自分を大切にする行為を心がける。滋養のある食事をとり、体力と免疫力をあげる。
●Ahimsa for others / 他人への非暴力
人に感染させる恐れがあるような軽率な行動はしない。人を不安に陥れるような言葉を安易に発しない。
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●Satya / 正直
言霊を意識し、アヒムサ(非暴力)を伴ったサティヤ(正直)を守る。
真実で真実を引き寄せることを体現し、デマや扇動報道にも惑わされない状態でいる。
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●Asteya / 不盗
必要以上の買い占めは誰かの困難を生じさせるアヒムサ(非暴力)に反する行為であると認識して控える。
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●Brahmacharya / 禁欲
肉体的欲望をコントロールし、必要以上のエネルギーのロスを避ける。
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●Aparigraha / 不貧
必要量はどれくらいかを考え、無闇に所有しない。
不安や恐怖心も溜め込まないよう、”リラックスできる””発散させる” ことを日課にする。
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Niyama
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●Saucha / 清浄
衛生面に気を配り身体を清潔に保つ。毎日の入浴、ヨガの時間をゆったり取り、肉体的&精神的浄化に努め、風通りの良いクリアな状態を保つ。
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●Santosha / 知足
失ったもの、奪われたもの、変化してしまったものに過剰に反応しない。
既に足りているものへ目を向け、いまの状態で良しとする。
抑制されている、満たされていないという幻の ”欲望の渇き” に翻弄されない。
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●Tapas / 苦行
想定外の苦難も、自分の成長に繋がり鍛えられているのだと考える。
ヨガや瞑想、呼吸法を日課に。内側から沸き起こる幸福を感じ、あらゆる試練を乗り越えられる自信と気力を養う。
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●Svadhyaya / 読誦
精神的に浄化され、向上するような書物を読む。
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●Ishvarapranidhana / 神への祈念
エゴを捨て、大きな宇宙の力に身を任せてみる。”人事を尽くして天命を待つ” 姿勢でいる。
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は
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ヨガ用語にはこんな言葉があります。
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Off The Mat
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レッスンが終わりマットをおりても、八支則を意識することでヨガが継続されるということです。
ヨガは人生で起こる様々な苦しみを克服する方法として編み出された精神統一法。
世の中が様変わりした今、自身の内側から平和を取り戻す為に、ヨガの智慧をお届けできたらと思います。
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参考資料:『現代人のためのヨーガ・スートラ』Gregor Maehle
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