識別するチカラ。
ヨガでは、人生において様々な事象に悩み苦しむのは、識別(ヴィヴェーカ)ができていないからであると考えられています。
何を識別できないのかというと例えば、
【真実とそうでないもの】【変化するものとしないもの】【有限なものと無限のもの】【心や体(自分が認識している自分)と真我(本来の自分)】
これらを見誤ると、安寧と至福の域へはいつまで経っても辿り着けません。
情報過多の現代では、嘘か本当かわからないニュースが飛び交っています。そして、人や時代が作り上げた価値観を植え付けられ、一体何を信じて何を基盤にしたらいいのか、迷子のようになってしまいます。自分には必要ないものなのに他人の物差しに高く算定された何かを必死に追い求めてしまったりしていないでしょうか。
私たちヨガ実践者は、正しい認識、判断をすることが大切です。
それには何を信頼すればいいのか。
まずは五感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)です。
正しく機能している五感ならば、直接感じ取られたものが信頼に値すると考えられます。
対象となるものは、食べ物、所有物、お金、異性、地位や名誉、権力など無数にありますが、正しい識別ができるようになると、刺激的で世俗的なことに無関心になり、執着心も起きません。見聞きするものへの貪欲な興味から解放された人は “欲の征服者” となります。
知らなくていいことはそもそも知らないままでいい。知るべきものはフィルターをかけない、妄信しない、執着せず身をもって正しく判断できるように。せわしなく心が動いていると、感覚の邪魔をされて惑わされてしまいますが、毎日のヨガや瞑想で集中力、智慧力を育て、識別力を高めていきましょう。
正しく識別ができるようになると、私たちは時空を超越して、束縛から解放され、自由の空へ飛び立つことができるのです。