呼吸法
3つの息
【肉体を制するものは精神であり、精神を制するものは呼吸である】と言われるとおり、心身の健康・バランスをととのえるには呼吸がとても重要です。
まず私達が日常的に行なっている呼吸(吐く・吸う)についてご説明いたします。
吐く息……レーチャカといいます。腹筋を収縮させて古い空気を体外へ押し出し、副交感神経を刺激します。
沈静化・心を落ち着かせる効果
吸う息……プーラカといいます。腹筋を緩ませると自然に横隔膜が下がり、新鮮な空気が肺に満たされます。交感神経を刺激します。
活性化・身を引き締める効果
こうして私達は、呼吸をすることで無意識に活性と鎮静のバランスを取っています。 そしてヨガではもう一つ、大切な息があります。
留める息……クンバカといいます。空気を溜めたままの止息。
心身の統一力、瞬発力、集中力を高める効果
ヨガの上級者になるほど、このクンバカをうまく取り入れています。クンバカとは、《壺のごとき》という意味です。お腹の中にクンバ(壺)をイメージし、吸う息で取り入れたプラーナ(生命エネルギー)を壺に満たしていきます。
プラーナを支配するもの
ヨガにはプラーナ(気・生命エネルギー)という概念があります。ヨガにおける呼吸法とは、
このプラーナを取り込み、巡らせ、増幅させるツールです。ですから一般的な呼吸法とは異なり、調気法・プラーナ法と言われたりもします。
『気』というと、「抽象的・感覚的でよくわからない」と思われる方、はなから苦手と毛嫌いする方もいらっしゃると思います。確かに、この概念の使い方を間違えると、もうその人にしか分からない独断的な世界になってしまい、非常に危険な一面もあります。
ですが、前述したようにヨガの呼吸法は調気法。
これは【プラーナヤーマ】ともいいますが、まさしくプラーナ(気)をヤーマ(制御・静止)するものです。ヨガを学ぶのならばここは避けて通れず、これを無視することはヨガの真髄を無視することになってしまいます。
例えばレッスン中、インストラクターに「髪の毛の1本1本にまで酸素を届けて」とか、「足の先から息を吸って」などと指導されたことはありませんか?
髪や手足で呼吸ができるはずはありませんが、意識を集中し、そうイメージしてみると、確かにその箇所に息づかいが感じられたりします。シャバーサナでプラーナが体外へ抜けていくイメージをすると、実際に体温が下がったりします。
はじめは何となくそう感じる…程度で十分です。これがヨガの楽しいところでもあります。
呼吸法をプラーナ法に
息を吸えば自然に空気は入ってきますが、プラーナは自然には入ってきません。プラーナは、イメージにコントロールされているからです。観想法・イメージ力を使って、呼吸法をプラーナ法にベースアップしましょう!
吐く息……体内の毒素や穢れを放出するイメージ
吸う息……黄金色のプラーナが体内に流れてくるイメージ
留める息……プラーナが全身に巡り、満たされるイメージ
プラーナヤーマを使いこなせると、ヨガの効果を覿面に感じられるようになります。また、同じポーズでもどこにどのように気を流すかで効果が全く違ってきますので、ご自分に合ったヨガにカスタマイズしていけるのです。
次回のレッスンでは3つの息を意識しつつ、1ポーズ1ポーズ、丁寧に、気持ちを込めて実施してみましょう。
※吸息:吐息:保息=1:4:2 と指示されることが多いですが、1:1:1でも1:2:3でも良いので自分のリズムを見つけてください。