火の呼吸
健やかで安定した心身の為に。
まずは体の動きを止めます。体が止まると心が暴れだすので、それもまた制御していくのですが、それは一筋縄ではいかず、やはり日々の修練が大切。
ここでは、少しパワフルでありそのぶん効果的でもある呼吸法をご紹介します。
バストリカー(ふいごの呼吸)
鉄を加工する火を高音に維持する為の送風装置を『ふいご』といいます。
昔は革製であった為バストリカーは『革袋』の意味もあり、下腹を革袋のように使って体内の生命エネルギー(プラーナ)を沸かそう!という呼吸法です。このことから『火の呼吸』とも呼ばれています。
①楽な姿勢で座る
②吐息
今お腹にある空気を押し出すようにシュッ!と鼻から吐く
③吸息
吐く勢いを利用して自然にシュッ!と鼻から吸う
(( ②③をリズミカルにかつ急速に繰り返す 。目安は1秒間に4回吐く。これを1分程度))
④保息
吸息のタイミングで深く吸って10秒~息を留める
ムーラバンダ(会陰部の引き上げ)、ジャーランダラバンダ(喉の引き締め)でクンバカ(保息)。ふいご作用によって火が強く輝き、その火の光が身体中を照らし巡るイメージ。
⑤深く吐き切る
背中を丸めつつ長く吐き切ってムーラバンダ。いらないものは燃やし尽くしたので吐き切るイメージ。
※ しばらくその感覚を堪能し、自然に吸息したらまた①から気分によって3ラウンド繰り返し。
※私は②③は両手をお腹に重ねて置き、④⑤は膝に置いてますがご自由に。いずれにしてもどこにも力は入っていないリラックス状態で行います。
※覚醒するので朝に行うのがおすすめ。寝る前は避けます。
※食後すぐ、高血圧、生理中・妊娠中は控えます。
※窓をあけて新鮮な空気が入ってくる環境で行います。
個人差がありますが一般的にこのような効果があるとされています。
⚫︎プラーナ(生命エネルギー)の活性化
⚫︎自己免疫力、自然治癒力の向上
⚫︎自律神経、ホルモン分泌の正常化
⚫︎呼吸筋の強化、心肺機能の向上
⚫︎ヴァータ・ピッタ・カパのバランス正常化
⚫︎消化機能の改善
⚫︎若返り効果
⚫︎全身の血流改善
カパーラバーティ
バストリカーの保息の工程を設けないと『カパーラバーティ』という呼吸法になります。吐息をより意識的に行います。
体内に酸素を大量に送り込み、カパーラ(頭蓋骨)にバーティ(火を灯す)とされている通り、強力な浄化効果があります。シャットカルマ(ハタヨガにおける伝統的な6つの浄化法)の中のひとつであり、バストリカーと似ていますが、カパーラバーティは呼吸法を使った『浄化法』にカテゴライズされます。
特にカパ体質(水性・粘性のある重い体質)の人に勧められるのは、体内の管(ナーディ)を掃除し消化力が高まるから。少々食べ過ぎても燃やしてくれるようなイメージです。
また、喉、肺、脳、心の中のモヤモヤが一掃され、まるで心身を換気されるようなリフレッシュ感が得られます。こうした浄化法を行うことでその後に行うプラーナヤーマ(調気法)もより快適に効果的にできます。
注意も必要で、普段の2倍の酸素量を取り入れることになるので、身体がびっくりして末端の血管を収縮させて毛細血管に流れる血液量をセーブしてしまいます。そうすると逆に酸素不足状態になります。無闇に行うと危険なので指導者のもと、又は様子を見ながら行なってください。
まとめ
火の呼吸は、炎柱である煉獄杏寿郎が操る強力な攻撃性のある『炎の呼吸』とは似て非なるもの。「心を燃やせ !!」は共通点。
ということは明記しておきまして。コツとしては火の呼吸は鼻から結構な音がするのでどうしても意識が上方へ向かいがちですが、実際は『腰で呼吸』するという感覚です。そこから生まれたプラーナがどう移動し作用するか観察してみてください。
管楽器経験者ならばご存知だと思いますが、音を作っていくプロセスでこの火の呼吸のような呼吸法を練習しますね。タンギングなしでお腹から、Fu! Fu! Fu! と荒削りに吹き出し、そこから磨いて光る玉のような音を作っていきます。
音を輝かせる息。それを送り出すお腹。まずはそこに集中するという練習法を小学生から初めますがそれと一緒です。とても基本的でシンプルなことだけど、やはり何事も呼吸法が要だなぁといつも思います。
呼吸を自分で制御できているという自信を持ってください。
何も道具はいらない。
呼吸法で心身は蘇るということを楽しんでください✨


