2020.2.11.Tue

脳とヨガ

 

 

DMN〜ひらめきを生むシステム〜

画期的で斬新なアイデア。新しいモノを生み出したい。

そんな”ひらめき”を得るには、”心の散歩”とも呼ばれる、ぼんやり何もしない時間が必要とされています。

これまで脳は課題を与えられた時のみ働き、何もしていない時は休んでいると考えられてきましたが、脳のある部分は、休息の時間にのみ働いていることがわかっています。

 

脳の領域でいうと、

●前頭前野の内側(心や精神を司る)

●後部の帯状回

 

●下部の前頭小葉

 

 

ぼーっとしている時、内側前頭前野を中心に、脳の様々な場所が連携し、盛んに働きます。

これはデフォルト・モード・ネットワーク(DMN:Default Mode Network)と呼ばれ、”ひらめき”を生む回路であると言われています。

1日2〜3時間程度、ぼんやりする時間を設けるのがオススメ。

心がふわふわと思いつくままに散歩する、いわば”心の散歩”。

過去の様々な記憶や感情が浮かんでは消え、未来に思いを馳せ、そんな時にふと、あるアイデア同士が偶然に組み合わざり、新しい何かを見つける、と考えられています。

 

 

しかし、はたから見るとサボっている・・・と誤解されそうなデフォルト・モード。実は暗算している時や読書している時に比べても10〜20倍の仕事をしているそうです。

脳全体の働きの60〜80%がDMNに費やされているのです。

また、過去の整理をし未来の予測をすることができるようになるこの”脳のアイドリング”状態は、過剰になると鬱々としたり、不安に捉われたりしやすいことが最近の研究で分かっています。

マインドフルネスの重要性

 

 

これまでの研究では、「体の微細な感覚に対し、反応したり判断したりせずに、ただただ観察していくような瞑想(ヴィパッサナー瞑想や洞察瞑想)を行うと、感情や記憶に関わる領域と、DMNとの関係性が低下していく傾向があることが分かってきています。(※こちらの瞑想をご希望の場合はいつでもお申し付けください)

うつ病や不安神経症では、過去の嫌な経験や将来の不安が過剰に反芻されます。しかし、感情や記憶に関わる領域とDMNとの間の関係性が低下していけば、脳が嫌な経験を反芻しにくくなり、それらが投影する将来の不安からも解放される可能性があるということです。

デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)による過剰なアイドリングを抑えるためには、効果的なヨガと瞑想、すなわちマインドフルネスが並行して重要となります。

マインドフルネスは、”今この瞬間”に集中することで実現されます。

体の声に耳をすませ、感じることをただ観察する。ふと浮かんだ思考や感情をジャッジせず受け入れる。

いつもヨガのレッスンで実践していることですね。

デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)とヨガや瞑想で感じる【今この瞬間の幸福感】を、バランス良く日常に取り入れていけば、新しい道が開けそうです。

 

 

引用文献
Gotink, R. A., Meijboom, R., Vernooij, M. W., Smits, M., & Hunink, M. M. (2016). 8-week mindfulness based stress reduction induces brain changes similar to traditional long-term meditation practice–a systematic review. Brain and Cognition, 108, 32-41.